ぎんいろよぞら
TWをやったり、サイコロ回したり、お絵かきのっけたりする、そんなまったりブログ。 本人に、廃人の自覚無し。というか、違うと思うんだ。
→ エルティボへ
- 1999/12/02 (Thu) |
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魔法陣で飛んだ先は、さっきまでと雰囲気が大きく異なる狭い洞窟―――否、それを模して造られた人為的な洞穴のようだった。壁や床、天井に至るまで狂ったかのように魔術言語が刻み込まれ、―――――――――ている。
そして、そこはあまりにも寒かった。
あまりの気温に、体が勝手にブルッ、と震えた。
吐き出す息は白く、どこかに風の通り道でもあるのか、ひと風が吹くだけで一気に体中の熱を奪っていく。
その荒んだ有り様は、時折吹いてくる強風が天然のシャンデリア―――この洞穴には氷の牙のようなツララが数多く存在していた―――を叩き折っては地面に氷の花を咲かせていく程だった。
さっきまでいた地下空間、その茹だるような気温とはうって変わり、だがそれ故になおさら激しく、今度の冷え切った環境はあまりにもキミの身体を痛めつけては動きを鈍くさせた。
もしかしたら、洞穴内の気温は氷点下の遙か下を示しているやもしれない。
キミは、自分の手荷物を再確認した後、暖を取れそうなものを探し―――ありがたいことにマントがあった―――羽織る。
そして、ランタンを灯した。
ランタンの中の小さな、とても小さな火が悴んだ(かじかんだ)手を癒していった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――ザザザ。
――――――前にも■■とこういったことをした気が――――――する―――。
ザザ―――――――――――――――――――――、ザ―――――――――――――。
その場所を離れて、数分。
ようやくキミは、洞穴の出入り口を見つける。
遠巻きに、そこから見える世界の色は、灰色がかった白―――空の、雲の色だった。
出入り口からは、冷たい潮風がビュービューと吹き込んできていた。
視覚に入ってくる白の割合が増える度、洞穴世界との終焉を否が応にも実感させた。
―――痛い。
洞穴から出た時、最初に感じたキミの印象がそれだ。
洞穴の中にいた時よりも冷たく、そして激しい風が、キミの体を襲い、キミの体温を奪っていく。
あまりに風が強くて目を開けることすらも至難の業だった。
咄嗟に腕で顔を守ることでどうにか凌いだ。
このままだと、キミの身体は凍りつくかもしれない、そんな不安がよぎる。
そして。
足元の方でザザンッ、と激しい波が何かに叩きつけられた音がした。
キミは今いる居場所を確認する。
眼下には激しく渦巻く白波―――つまりは、海―――が見えた。
今いる出入り口は地表よりも大分高いところだったようで、所謂断崖絶壁の中腹に位置しているようだ。しかも、大きな岩が出入り口を隠すように存在しており、ここならば海からも崖の上からも気づかれない、そんな風に思えた。
遠くの山々は雪景色で統一されていた。
こうした風景はキミの思い浮かべるエルティボのソレと確かに一致していた。
そして最後に。
雪が降っていた。
―――道理で寒いわけだ。
ふと思う。人の温もりが欲しい、と。
最後に人と会話をしたのは何時の事だったろうか―――?
* * *
GM:さて。あなたはここから、エルティボの山奥、人知れず隠されたダンジョンの最奥にまで到達することとなります。
されど、
はたして、
“―――あなたの選択は、それで本当に良かったのでございましょうか?”
選択せよ:
→ ダンジョンへと進む
→ 正しき扉
- 1999/12/01 (Wed) |
- 扉 |
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キミの考える通り、開くべき扉は“左の扉”でも、ましてや“右の扉”でもなかった。
―――キミの回想は数分前に遡る。
石版に描かれた数字を数字順に並べると、「エルティボ」を指し示していた。
そのことに気づくと後は簡単だった。台座の奥、水が滾々と沸き出でるその場所に、描かれたひっかき傷なようなものがレンム王国の地図であることに思い当たったからだ。
キミは、フォーレンスター島を囲むようにして存在しているレンム王国の南部、首都のエルティボがある付近に手を這わせる。
―――あった。
流れる水の存在で見つからないようになっていた取っ掛かり(と言っても極薄い、言われなければ気づきもしないだろうソレ)をキミは爪で引っかいた。
すると、台座から湧き出る水、その噴出口の先が形を変える。
それは最終的に、高さ2cm、幅17cmほどのスリットとなった。
この大きさの謎に気づいたキミは、そこにロングソードグッドナイトから受け取った石版を嵌め込む。
予想通り、ピタリと嵌る石版。
それを、カギ穴の要領でカチャリと回した。
手応えがあった―――ガチャ、と台座の奥から大きな音が響く―――と同時に、もう必要はないのだろう、石版が台座より飛び出してくる。
慌ててキミが石版を回収すると、今度はどこかでガタガタと機械が動く重低音に加え、振動が発生する。
かなり凝った仕掛けだ。
徐々にせり上がる台座。
それに合わせ、部屋中の空間を侵食していた水は次第にどこかへと流れては消えていった。
最終的にキミの目の前に現れたのは、入口―――部屋に残った水がまるでそれを隠すカーテンであるかのように滴り流れる―――灰色の石畳で出来た隠し通路だった。
キミは、水のカーテンを潜り抜け、さらなる奥へと歩みを進めた。
―――そして、今。
辿り着いた隠し通路の先には、床に魔法陣が描かれた部屋が、ただポツンとだけ存在した。
どうやらここで行き止まりになっているようだ。
魔法陣を詳しく見てみると、テレポートを行う術式が刻みこまれている。
向かう先は予想通り―――エルティボに設定されていた。
物語の謎はまだ、終わらないようだ。
キミはさらなる覚悟を持って、魔法陣へと飛び込んだ。
選択せよ:次なる目的地を
→ エルティボヘ
→ やり直す
- 1999/09/29 (Wed) |
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キミが『やり直す』ことを選んだことで、世界は一変した。
―――キミの世界が変わる。
キミの視覚が、キミの知覚が、世界を構築する領域の果てを黒いブロック塀が徐々に積み重なっていくかのように黒一色で染めあげていくのを認識した。
そして世界は、ただ黒一色で塗りつぶされた、何もない空間となる。
―――新たなる幕は上がる。
この物語の終焉へと向かって。
どのくらい過ぎたのかわからない。
キミの目の前に誰かが現れる。
GM:こんにちわ。いや、こんばんわですかね? それとも、『ようこそ』? それとも『さようなら』?
キミの返答を待たずその誰かは、キミの困惑を理解したのか、単に何も気にしていないのか、それともそれすらもどうだっていいのか、淡々とした調子でこう告げた。
GM:キミは何度も“ここ”に来たことがある。
死んでは生き返り、苦悩しては過去に戻り、この世界を何度も、何万回も彷徨っている―――それがキミ。
キミ自身は覚えていないかもしれない。
だが、キミの『魂』は、『魂』が繰り返している『事実』は、その『事実』を『何らかの消失』として覚えている。
さぁ、殺し合いを始めよう。
ボクとキミとの間の、もはや何度目かすら定かではない戦争を。
わかっているはずだ―――。
ボクを殺さなければ、キミは何度も絶望の世界へと叩き落とされる。
さぁ。
求める『答え』を。
『答え』を!
『答え』を―――!
キミは答えられず、GMはあなたに短剣を突き刺した。「残念だよ」
―――キミは死んだ。
* * *
記憶の彼方へとキミはループした。
条件はわからない。
だが、キミはこの世界を本を読みなおすように“時間軸そのもの”を移動できるようだった。
仮に例え死んだとしても。
問題は、キミがそれを覚えているかどうか―――その1点こそが問題だった。
だが、この時だけは違った。
狂った歪が。狂った時を刻んだことで、狂った結果を産み出した。
* * *
―――。
気が付くとキミは屋敷にいた。最初の屋敷だ。
あの女主人と執事が現れる屋敷だ。
そして、その場には他の仲間が、死体ではなく―――ただ、眠っている状態で転がっていた。
一番早く―――否、“まったく誰も起きていない時に都合良く”―――目が覚めたらしい、キミは推測する。
これから、あの悲劇が起こるのだと。
キミは、眠っていた仲間を急いで叩き起こし、事情を説明する。
―――だが。
信じてはもらえなかった。
当たり前だ。ループという異常な現象を誰もが真面目に受け取ろうとしなかった。
その存在を理解しようとしなかった。
そして、自分たちが死ぬなどという未来の事実を前に、彼らの本能がキミの言葉を最初から拒絶していた。
そして。
コツッ、コツッ、コツッ。
堅い靴音が響く。
―――ギギィーッッ。
やはりだ。
キミが知っている通りに戦闘が起こる。
結果は同じだった。
キミの行動むなしく、あまりに同じ結末を辿ってしまった。
やはりキミだけが生き残った。
―――この世界はやはり狂っていた。
選択せよ:
→ 時を戻す
→ 絶望する
→ 次元の狭間 →
- 1999/07/28 (Wed) |
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――ざざざ――――――――ざ―ざざ――――――。
―――――――――ざ―――――――――――――ざざざざざ―――――――――。
ザ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
―――キミの意識は歪みを産む。
世界の。歪が。歪み。
世界の歪み。
歪んだノ―――ノ、ノイズが脳の奥を刺す。
キミの本能が拒絶する。
歪みが。歪むが。歪みが。
―――突如回顧する記憶の欠片。
―――石版。ロンgソーdgおdnいt―――から渡されt――――――。
――――――――――――ざ――――――ざざざ――――――。
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―――――。―――――――――――――――――――――――――――――――。
怒りに狂った女、執事。
ゆkに転がる仲m――――――否。ただの死体。
伸ばした手。それは触れる間もなく。
絶望感。痛み―――歪む。
ザザザ――――――――――――――――――ザザ―――――――――。
――――――。――――――。
壊れた探知機。元の世界。
世界の綻び、異世界への扉―――――――――。
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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
――――――――――――――――――――――――――――――――――プツン。
知らない人物の顔。
知らない人物の声。
「キみ葉、今迄難カい死ン駄?――――――」
そう言って、知らない人物はキミを■■した。
―――キミの意識はさらに沈み込む。
―――奥へ奥へ奥へ。
―――この世界の深淵へと。
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stせy:
→ sきに進m
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